森山大道さんがハッセルブラッド賞を受賞されたということで行われたシンポジウムに参加した。授賞式翌日であり、展覧会のオープニングに先がけて行われた。満員の会場の中、プログラムの最後に組まれていた「10の質問」に答える森山さんの言葉が、とても鮮明に心に刻まれた。その中で、特に印象に残ったのが、「写真を撮ることに行き詰まった、あるいは飽きたことはあるか」という質問に対しての言葉だった。森山さんは、写真を撮ることを退屈だと思ったことはない、と言い切った。そしてそのあと、続けた。「行き詰まったことは無いけど、なんというか、撮った写真が自分に跳ね返ってこないというか、そういうことはあります。そうなると少し、写真を撮らない時間をとる。何もしないで、ぼーっとしたりする。そうするとね、また光と影が見えてきて、写真撮ろうって気持ちになるんですよ」森山大道さん本人から発せられるその言葉は、文字以上の深みそして重みを以って伝わってきたし、温かみがあった。