服を毎日取り替えて当たり前だという習慣だったので、
同僚が平気で次の日も同じTシャツを着てるのを見た時は、目から鱗だった。
Tシャツだから肌に触れる。
靴下もそう。
日本ではあまりそういう人を見ないので最初は「えっ」てなったけど、
次の瞬間に、『なんで自分は「えっ」って思うの』となった。
リハーサルどころではなくなった。
「なんで自分は服を毎日変えるのだろう」と。
なぜ今日も同じTシャツを着てるのか、について本人に問うたことはないが、きっと変える必要がないと言いそうだ。そのTシャツが大のお気に入りであり、夜な夜な洗ってる感じでもない。
基本的にオーケストラピットというのは限られた空間に大勢がいるので、暗黙の了解というか皆、周囲の人々への配慮はちゃんとしてて、香水を鬼のようにふりかけてくる人とかもいない。人それぞれ、身だしなみはきちんとしている。そしてそのTシャツを続けて着てくる同僚(複数名)も、ちゃんと清潔感がある。
北ヨーロッパは、汗をかきにくい。
スウェーデンは都市部でも割と空気もきれい。あとスウェーデン人って体臭無いような。。(うちの職場だけかな?)
だからいいのか。
どうなのか?
でももし、『Tシャツを毎日変えないから』という理由だけで、私の同僚を清潔ではないという人がいれば、それは何を基準に言っているのか逆に聞いてみたいと思う。
Tシャツを1日に1度変えるくらいでは清潔感が足りず、汗もかかずに4、5枚変えなきゃ気が済まない人もいるのだろう。
Tシャツを変える頻度って皆違うのかな。
大分その思いを温めたのちに、とりあえずは休みの日、仕事に行かなくていい日にやってみた。
夜シャワーを浴びる時にTシャツ脱ぐ〜寝巻き(別のもの)着る〜朝起きる〜昨日着たTシャツまた着る
驚いたことに、何ともなかった。日はまた昇った。
今まで当たり前のようにポポイポイと洗濯カゴに入れてたアレはなんだったんだろう。
ところが後日、このTシャツはまた明日着れる、とソファの脇に置いといたのを忘れて他のTシャツを出し、その忘れられた方を数日後に気づき「あっこれは」と思い着てみたのだが、その時は違った
再び着るのが遅かった。
魂が抜けてるのだ。もうそのTシャツは『洗われるのみ』という意思表明を全力で残し、死んでいた。
この違いは一体何なのであろうか?
他にも、お酒を飲んだ翌日のTシャツは着る気にならない、など自分の中で次の日も着れるTシャツのコンディションと洗うタイミングが徐々にはっきりわかるようになってきた気がする。むしろ今は次の日も同じTシャツを着られるように、自分自身をもっと清潔に保とうという風に考えてる。考えてみたらものすごい真剣にTシャツを着てる。
日をまたいで同じTシャツが着れるようになった時、自分もついにヨーロッパかぶれかと思い震えた。そのうちハンカチで鼻をかみだすかもしれない。お誕生日に菊の花束を渡すかもしれない。何だろう。